相談室の方針
- 栄橋心理相談室では、希望する相談者に対してはいつでも担当臨床心理士の経歴、訓練、資格について説明することを義務としています。
- 栄橋心理相談室の臨床心理士は、精神分析家または精神分析的心理療法家としての訓練を受けています。
- 栄橋心理相談室の臨床心理士は、米国の精神分析研究所と連携し常に最新の知 識と技術を維持することを心がけています。
心の専門家とは、いったいなんでしょうか? 最近になって、様々な「心理相談室」が設立されるようになりました。多くの人が少しでも気軽に心の相談ができるようになったという意味では、とても素晴らしいことです。しかしその一方で、充分な知識や訓練をつまないまま「カウンセラー」や「心理士」、「心理療法家」と名乗る人たちが沢山いることも間違いのない事実です。わが国では、最近になって心の相談を受ける専門家として国家資格化されたライセンス(公認心理師)ができましたが、「カウンセラー」「心理士」と名乗ることに制限はありません。
心の問題は、どんな人にとっても、とても大切で繊細なものです。自分の大切な内容を、本当の意味で専門家と名乗ることの出来ない相手に話してしまっていないでしょうか? 相談者自身が、専門家の資質をきちんと把握しておくことはとても重要です。場合によっては、相手にどんな訓練を受けているのですかと直接聞いてみることも必要になってくるかもしれません。アメリカでは、そのように相談者自身が専門家を面接し、相手の適正と能力を充分に評価してから相談を始めるのは珍しいことではありません。
現在、国家資格の公認心理師以外で、心の相談を受ける専門家に関する専門性の極めて高い資格に、財団法人日本臨床心理士資格認定協会認定の「臨床心理士」という資格があります。これは、名称独占を認められており、試験に合格しこの資格を取得したもの以外、臨床心理士と名乗ることは出来ません。
当相談室の臨床心理士は、いずれも「公認心理師」と「臨床心理士」の資格を有しています。うち一人は、それに加えアメリカの精神分析家の免許、資格を有しております。この資格を所持していることが、当相談室の臨床心理士の専門家としての質を保証する一つの基準になっています。
臨床心理士の資格を所持する者は、学会への参加や発表など、普段から専門家としての知識を磨いておくことが求められます。5年ごとに資格更新があり、専門家としての知識を磨きつづけていない臨床心理士は資格を更新することが出来ません。それによって、臨床心理士の専門家としての質を維持するのです。当相談室は、臨床心理士資格認定協会が定めるこの研修制度を有意義なものと考えています。しかし、その研修量を決して充分なものとは考えていません。
精神分析療法は、セラピストの感性を常に研ぎ澄ましておかなければ提供することが出来ません。そのため、フロイトが精神分析療法の訓練について述べて以来、精神分析療法を提供するものは他の心理療法と異なる特殊な訓練を受けたうえで、さらに最新の知識や技法を取り入れ続けなければならないというのが世界基準の考え方です。ところが、残念なことに、わが国では精神分析を行なうと名乗る専門家の中にも充分な訓練をつんだとは言えない人が多く存在するのも現状です。
精神分析家になるための訓練とは
- 自分が患者としてまず何年にも渡り精神分析を受ける
- 数年にわたり自分の臨床事例の検討を毎週続ける(精神分析的スーパービジョン)
- 精神分析のさまざまな理論体系を講義の中で数年にわたり学ぶ
という三本柱からなっています。
この三本柱のそれぞれについてどの程度訓練をつむ必要があるかという点に関して、米国では学会によってその基準が多少異なりますが、この三本柱の訓練が必要だと言う認識は共通のものとなっています。この中のどれが欠けても充分な訓練とはいえないのです。当相談室は NAAP精神分析学会 の基準に沿っています。この基準に沿った訓練を受けた精神分析家は、実はわが国では非常に少ないのです。
精神分析家は普段から自己の感性や心の動きの理解までも含めてチェックし、できる限り深く相談者の心を理解することを求められます。そのような訓練がないと、いたずらに相談者の心を傷つけてしまうだけになってしまう恐れがあるからです。そのため、専門家として活動し続ける限り、生涯にわたって精神分析的スーパービジョンを継続しなければなりません。当相談室の臨床心理士は、心の相談を受ける限り永遠にこのような訓練を受け続けることを義務付けられています。
栄橋心理相談室は、ニューヨークにある「TRISP自己心理学研究所」や「国際自己心理学会」と連携し、常に最新知識と技法を維持するための訓練を行っています。当相談室の臨床心理士は、年に一回渡米し、アメリカの最先端の精神分析家たちとのディスカッションやスーパービジョンを直接行うだけでなく、普段からアメリカと連絡を取り合いながら、意見交換を続けています。