募集は締め切りました。
精神分析コースワーク
栄橋心理相談室では、2012年4月から開催される現代自己心理学セミナーの受講生を募集します。このセミナーは、日本精神分析的自己心理学研究グループ(JFPSP)と連携して開催されるもので、精神分析臨床に携わる専門家が精神分析的自己心理学を学習するための基礎的なコースワークです。セミナーは、全24回の1年課程となっており、前期には自己心理学基礎理論講座、後期には現代自己心理学臨床基礎講座が開講されます。仕事をしながら学習する方のために、月に1回、月曜日(第3月曜日を予定)の夕方に行われるプログラムになっています。また、参加者が充分な学習の機会を得るために、少人数制の限定メンバー(最低開講人数4名)で開講されます。
精神分析臨床家になるためには、一般に3種類の訓練が必要だといわれています。それは、教育分析、スーパーヴィジョン、コースワークです。我が国では精神分析臨床に携わる者が少なくありませんが、残念ながらそれらの訓練を得るための機会があまりないのが現状です。特に、Kohutに始まる精神分析的自己心理学は、我が国でも次第に知られつつあるにもかかわらず、組織だって学習するための機会はほとんどありません。参加者の皆様には、広島現代自己心理学セミナーをコースワークの一つとして、ご活用いただければと思います。修了者は日本精神分析的自己心理学研究グループに正会員として推薦され、入会が認められれば、米国の精神分析研究所と提携したより高度な学習機会を得ることができます。臨床を深めるために、また、精神分析的自己心理学の知識を深めるために、多くの臨床家の参加をお待ちしております。
カリキュラム
自己心理学基礎講座(Introduction to Self Psychology) 前期 全12回
1970年代まで、アメリカは自我心理学全盛時代でした。やがて権威主義的、機械的傾向が目立つようになった自我心理学に対し、さまざまな批判とともに新たな理論が生み出されます。その一つがKohutの自己心理学です。しかし、Kohut理論も今や「古典」と呼ばれるようになりました。現代の自己心理学はさまざまな考え方が発展し、学派を超えて他の考え方と結びついています。それでも、現代理論を知るためには、Kohut理論を知らなければなりません。Kohutの考え方はどのようなもので、どのような点で自我心理学と異なるのでしょうか。ここでは、Kohutの著作を中心に、Kohutの理論がどのような歴史的背景から生まれたのか、そして、どのように発展して現代に至るのか、伝統的精神分析と比較しながら学習していきます。
現代自己心理学基礎講座(Contemporary Self Psychology) 後期 全12回
Kohutの心理学は、さまざまな点でこれまでの精神分析理論を大きく越えたものでした。そのような考え方は、私たちの臨床にどのような影響を与えるものでしょうか。どのような精神分析理論も全て分析家の臨床体験から生み出され、そして臨床に還元されて活用されていきます。Kohutやその周辺の自己心理学者たちが新たな視点を生み出した背景には、彼ら自身の臨床体験がありました。自己心理学理論を学んだ私たちは、これまでとは異なる臨床的視点や態度、考え方を、どのように臨床作業に用いることができるのでしょうか。そして、それらはどのようにして現代のシステム的観点へとつながっていったのでしょうか。ここでは、転移や抵抗、逆転移、夢の分析などの理解を通して、現代自己心理学システム理論へと流れていく考え方を学習します。